■ 2014/5/21 阻止ネット脱原発フォーラム(院内集会)

「核燃料サイクル」の現実から「エネルギー基本計画」を検証するシンポジウム

日時 2014年5月21日(水) 13時~16時30分

タイムテーブルと実施報告

(1) 基調講演1 「六ヶ所村の記録-核燃料サイクル基地の素顔」(20分)

鎌田慧さん(ルポライター・ノンフィクション作家)

六ヶ所村に「むつ小河原開発」の計画がきて石油コンビナートになるはずだった広大な空き地が、核燃料サイクル基地として選ばれてからの長い反対闘争の歴史を紹介していただきました。

(2) 基調講演2 「エネルギー基本計画における核燃料サイクル政策の問題点」(20分)

伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表) 講演スライド資料

核燃料サイクル政策の問題点について論点整理をしていただきました。

また、伴さんには今回の院内集会を企画準備するに際しても論点整理にご協力いただいています。

そのときの企画準備資料と直後の講演会資料も掲示しました。

(3) 市民の六ヶ所視察ツアー報告(10分)

今回の院内集会に先立ち、5月9~11日に六ヶ所再処理視察ツアーを実施しました。その報告はこちらです。

(4) 参加国会議員からの発言

参加国会議員名簿

(5) 省庁担当者への質問と回答(50分)

場所 衆議院第一議員会館・多目的ホール

主催 阻止ネット

協力 原発ゼロの会

(6) 意見交換(50分)

集会のまとめ

六ヶ所再処理工場は、今年10月から本格稼働する計画が進められています。しかし、全国の原発が休止している今、「原発がなくても電気が足りている」ことが明らかであり、原発を再稼働する必要性はありません。既に使いきれないほどのプルトニウムを抱えている日本は、世界から核兵器開発の野望を疑われる状況であり、これ以上プルトニウム製品を増産し在庫することも許されません。

そして、六ヶ所再処理工場が稼働しなければ、全国にある原発はその使用済み燃料を処分できなくなり、糞づまりを起こして運転できなくなります。個々の原発サイトで再稼働反対をすることはとても大切ですが、後方の再処理・核燃料サイクルを止めることも、原発に依存しない社会をつくるための方策です。

六ヶ所再処理工場のある下北半島周辺の活断層や、三沢基地から飛来して射撃訓練をする米軍機は、再処理工場にどのような破壊をもたらすか知れません。六ヶ所再処理工場には約3000トンの使用済み核燃料があり、約30トンのプルトニウムがあります。これらの一部でも漏洩したり再臨界したりすれば、多くの人々が被曝し健康を損ね、住み慣れた土地を追われることになります。

私たちは、核燃料サイクルのことをきちんと定量的に理解したいと考えています。そのため、担当官庁である資源エネルギー庁と原子力規制庁に、国内にある核燃料の質と総量、価格についてのデータを求めましたが、歯抜け状態の一覧表しか示されず、総体については担当官庁でも不明であるという回答でした。日本の原子力行政にとっても最も基礎的であるはずの情報さえもが、未整理だということは大きな問題です。

また、私たちは六ヶ所再処理工場の回収ウラン製品と回収プルトニウム製品に含まれる死の灰の濃度を明らかにして、その製品としての価値についても疑問符を付けました。絵に描いた餅と化しているプルトニウム利用計画しか立てることのできない現状は、日本がプルトニウムを過剰に所有している証しです。また、ウラン燃料とMOX燃料のランニングコストの差にも満足な回答がありませんでした。

最後の質問では、核燃料サイクル事業の意義を問いましたが、会場にあつまった議員や市民を納得させる答えを得ることはできませんでした。私たちは、全く意義を失った核燃料サイクルに電気代と税金をつぎ込むことを止めたいと思います。

六ヶ所再処理工場から恒常的に放射能を海と空に排出しつづけることについて、基準以下だからよいという答弁を繰り返す様子は、国民がいかに放射能を忌み嫌い恐れているのかを全く理解していないことの表れです。六ヶ所再処理工場が本格稼働して、青森県の海と空を無駄に放射能汚染させて、青森県の農作物や水産物から再処理工場由来の放射能が検出される事態を、どうしても避けたいと思います。

六ヶ所再処理工場を止めて、核燃料サイクルを止める活動を継続します。最後に、今回の集会に協力していただいた超党派の議員政策集団である「原発ゼロの会」のみなさまに感謝いたします。