■ 2014/5/9-11 六ヶ所再処理視察ツアー

2014年5月21日に実施する院内集会に先駆けて、六ヶ所の現状を視察するツアーを実施しました。

5月9日

14:00 むつ小川原港

14:30 青森県子力センター

18:00 山田清彦さん(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長)のお話し・・・・スライド資料

5月10日

午前 六ヶ所村内各所

12:00 花とハーブの里 菊川慶子さんのお話し

14:00 原燃PRセンター

18:00 交流会

5月11日

9:00 東通原発

10:20 横浜町なたね畑

10:40 道の駅

13:00 青森駅前 街宣行動・・・・再処理工場の本格稼働に反対を訴え、左図のような「ストップ再処理」びら(PDF版)を500枚をすべて配りました。

私は、生活協同組合パルシステム東京の組合員活動として、「六ヶ所から地球を考える委員会」に入って活動していることから、今回の視察に同行する機会をいただきました。「六ヶ所から地球を考える委員会」は、2007年4月から、再処理工場、原子力発電、そして核燃料サイクルについて、真実を知り、広く伝え、そしてそれらを止めることを目的として、同じ思いの組合員が集まり活動しています。

委員会の最終目標は、再処理工場の本格稼働中止が実現し、核燃料サイクルの破綻を確認して、委員会を解散することです。微力ではありますが、パルシステム、そして阻止ネットの皆様と一緒にこの目標実現に向けて進んでまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

5月9日金曜日から11日、日曜日までの2泊3日、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長の山田さんガイドのもと、めいっぱい現地を視察訪問してまいりました。移動の車中においても終始、案内をしていただき、六ヶ所再処理工場を取り巻く地域の今と昔、そして地元の現状と問題点、自然環境や町並み道路などインフラ等、目の前の状況を見るだけでなく、背景も知る視察となりました。

●5月9日

●むつ小川原港

八戸駅より貸切バスで出発、使用済み核燃料が陸揚げされるむつ小川原港と陸送専用道路を見学。港内は立ち入り禁止ですので一般道路からの見学となっております。当日の港にはMade in Chinaの風力発電の巨大な柱が横たえられていました。

イギリスで加工された使用済み燃料が搬入される日は、原子力センターの職員も同行し、きびしいチェックを行なうそうです。以前は住民も搬入ストップの声をあげていたそうですが、現在はいつ搬入されるか秘密になっているそうです。

●青森県原子力センターを訪問

原子力施設の周辺地域における安全確保と環境保全を目的に総合的監視機関で、必要に応じ緊急事態対応対策拠点施設(六ヶ所オフサイトセンター)の代替の施設ともなる場所です。

施設職員の方に環境モニタリング実施状況の報告と実施施設及び業務を案内していただき、非常に手厚く細心の注意を払い放射線をモニタリングし監視していることが確認できました。

モニタリングしている放射能の種類も他施設では計測できないプルトニウム、アメリシウム241、キュリウム44、炭素14も測定しています。また、東日本大震災3.11以降に県内モニタリング箇所も増やしたそうです。放射能で汚染された場に立ち入ることも想定し、セミホット室が設けられており、除染のシャワーや体についた放射能を図る測定器も用意されていました。

青森県環境放射線管理では、一般的な企業や市民測定とは異なり、測定対象物(検体)は、牛乳でも米でもすべて灰にして計測されています。灰化のための灰化窯という特別な窯が必要で、温度や時間管理など非常に高性能で特殊な窯が必要となり、もちろんその窯に対応できる検体入れるボール皿も日常ではお目にかかることのない品です。

職員の方に、「この窯一台おいくらですか?」と尋ねたところ「ウン千万円」と。で、「このボールひと皿は?」「2,3万円」とのことでした。その灰を計測する機器も放射線種により異なった高性能測定器が複数台設置されていました。こちらもそれぞれ一台ウン千万円とのこと。

その高性能で高額な精鋭機器を運用管理するための施設にも知恵が施されており、無停電電源装置室、測定室床下の空調設備などそれぞれ技術とち密さに感心するばかりでした。

「青森県環境放射線管理システムテレメーターシステム」は、環境データの測定から収集・解析、測定データの公開とその手厚さにも感心するばかりでした。感心と同時に、「そもそもこんなことまでして安全確保をしなければならない原子力発電ってなんだろう!?、それほどまで危険な放射能なら、源点に戻ってエネルギー源としてふさわしいのか再検討すべきだ」と強く思いました。

職員の方は、時間オーバーしても快く対応していただきました。「安全を国が確認する、そして県も確認する」という職員の方の言葉が印象的でした。

●三沢にて山田清彦さんのお話をうかがいました。

「下北原子力施設ガイドブック」を作成していただき、六ヶ所再処理工場と青森県の原子力発電施設の現状と問題点を詳しくご説明いただきました。

核のゴミが集中していることはもちろん、住民避難経路の問題や下北半島の大陸棚外縁断層問題があり、地熱発電の取り組みもなされる土地でもあります。また、青森県三沢の米軍基地による戦闘機の演習と射撃訓練が行われていて、原子力施設に近いことにとても脅威を感じまた。

●5月10日

●六ヶ所再処理工場周辺の町並みと再生エネルギー

ウラン再処理工場と六ヶ所再処理工場に向かう道、景色は広々とした開けた土地が多く、私の東北のイメージとはかなり違いました。その多くの空間は騒音対策などの移転によるものでした。

地元住民方の生活圏の遍歴、アメリカ軍戦闘機による集団移転先と移転元、射撃訓練による振動と騒音による集団移転先を紹介していただきながら移動。

また阻止運動の歴史やかかわった方々の今昔のお話や活断層のお話などもうかがうことができました。活断層のずれを知っていたにもかかわらず、施設建設を強行していることがわかりました。

六ヶ所再処理工場に近いレイクタウン、新興住宅街、六ヶ所村役場など生活エリアも見学いたしました。日本一高所得な村だそうで、「家を建てて100万円もらおう」という行政看板にも出会いました。レイクタウンでは、最大瞬間風速18メートル、強風注意の防災無線が流れていました。そして、ウラン再処理工場をバスの車内から見学、次に六ヶ所再処理工場は下車し、正門正面の道路を挟んだ歩道から見学しました。続いて近隣の風力発電所、メガソーラー発電所と車内より見学。

対照的なエネルギー発電の施設を目前にして考えさせられる見学箇所でした。

●次に「花とハーブの里」を訪問し、菊川慶子さんのお話をうかがいました。

そのお話しでとても驚かされ事がありました。

3.11以降、阻止活動に追い風だと思っていた私の想像と現場は違い、深刻で「以前は、表立っては言えないけれど、陰では応援しています」と言ってくれていた方々や声があったが、変わってしまった。…3.11を境に原発が停止し、生活や収入の問題が目前に付きつけられたためで、「村八分ということはなく幸いなのですが、公安のパトロールはきます。」最後に菊川さんは声をつまらせ「みなさん、六ヶ所を忘れないでほしいと…」おっしゃていました。

原燃PRセンター

館内には模型で再処理工程が再現されており、わかりやすい見学コースとなっていました。見学後に別室にて事前質問と回答についてお話をうかがいました。この内容等はこの後に時間をもうけてありますので、私の率直な感想をお話しさせていただきます。

研究者・開発者の方は、理論上可能なことを推し進めているのだと思いました。

この視察をとおし、現状を知ることでさらに確信しました。 交通事故や火災などさえゼロにできない人間に、事故のない完全なコントロールは不可能です。日本原燃の方も「事故は0ではない」と話しをされていましたし、再処理工程でトラブルとなっていた部分であるガラス固化においての解決策は、なんと「職人技」、数字に置き換えるコンピューター制御はできないそうです。

たとえば、仮に万が一の事故があったとして、その一回の事故が大事故となる危険があります。特に再処理工場が扱うプルトニウムで事故がおきたら…。

人間の五感で認識できず、避けがたく、現段階で放射能の毒性をコントロールするすべが人間にはありません。

放射能は水で流せる、処分場は処分する物が出てからしか決まらない、黄色ドラム缶だって原発稼働から20年後に決まったなどとの説明を聞き、例えが飛躍し不適切と言われるかもしれませんが、とび職の方の職業病で高所不感症があります。日常と慣れから高所への恐怖感覚が麻痺するものです。原子力研究者・開発者の方のお話は、放射能不感症におちいり麻痺されているなだと感じました。

●六ヶ所村内で反対運動されているかたとの交流会。

農業を営まれている荒木さん親子、阻止実行委員会の代表の澤口さん、30年以上にわたりぶれることなく危険性を訴え反対運動を続けてくださっているありがたい方々でした。

●5月11日

●東通原発とPR館

出発時刻をはやめ、PR館のトントゥビレッジの見学と東通原子力発電所を遠方から見学しました。原発敷地を有刺鉄線が張り巡らされていました。

●横浜町の菜の花畑と風力発電

初めて訪れた青森県、移動中に窓から見える広々とした豊かな緑、そこに勇壮に立つ多くの風力発電。

北海道からの電気の送電線なども目にし、エネルギーの地産地消や持続可能エネルギーについて考えさせられるシーンがいくつもありました。また山頂の米軍監視レイダーシステムなどの存在もこの目で見ました。

そして原発と再処理工場、核のゴミの問題、青森県のおかれた複雑で深刻な状況を思い知らされました視察となりました。

●青森駅前で阻止ネットのチラシを配りました。

「お願いします」と差し出すと拒否する方が少なく、受けとっていただけることに驚きました。そして住民の方の受け入れる優しさを感じました。

●今回の視察を終え、

あらためて様々な立場の方の生活があると思いました。

核燃料リサイクル施設立地申請から30年がたちました、その30年間、地域とともに住民の生活の中に入り込んでいるのです。しかし、幸いなことに再処理工場は本格稼働をしていません!! 本格稼働の前に、今一度、この計画の安全性とリスクを考えるテーブル(席)についてほしいと切に願います。

核のゴミや処理技術に「あせらないでください…」と言う日本原燃の方と同じく、私も稼働や実行に「あせらないでください…」と申し上げたいです。

この度、このような貴重な機会をいただき感謝するとともに、今後の活動に生かしていきたいと思っております。ありがとうございました。

事前質問と回答

この六ヶ所再処理視察ツアーの目的の一つが、ツアーの10日後に開催予定の5/21阻止ネットフォーラムでの行政官庁の方々との質疑討論のための事前質問集の回答を青森県と日本原燃(株)から伺うことでした。その質問と回答をまとめた資料は、こちらです。